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ロレックス:コスモグラフ デイトナ【腕時計名作選】
1963年、ロレックスによる新世代のクロノグラフとして登場。
デイトナの名前はアメリカのフロリダ州、デイトナビーチに実在する、デイトナ・インターナショナル・スピードウエイにちなんで名付けられたといわれています。
登場当初の広告等から、モータースポーツを強く意識していたと思われるデイトナが、その最高峰であるフォーミュラ1からではなく、アメリカのサーキット名を使用したのは、当時最大を誇った北米のマーケットを意識してのことと考えるのが自然ではないでしょうか。
ともあれ、既出のクロノグラフ、Ref. 6238の文字盤最外周に刻まれていたタキメータースケールを太く改めたアウターベゼルに移動。インダイヤルの色を文字盤の反対色とすることで各エレメントが整理され、時代なりのモダンな表情を得たデイトナは、ロレックスが製作する唯一のクロノグラフとして、ブラッシュアップを重ねられていきます。
手巻き時代のデイトナが搭載するムーブメントは、一貫して古典的な手巻きの水平クラッチ、コラムホイール式のバルジュー72をベースとしており、ロレックスによるモディファイによってキフショック、フリースプラングテンプを搭載した72B。
数年後にはアワーレジスターに改良が加えられたキャリバー722。
そしてその数年後には振動数を18,000振動/時から、21,600振動/時にアップしたキャリバー727へと進化を遂げていきます。
ところで1926年に登場したロレックス オイスターはその当初、リューズの閉め忘れによる入水事故に悩まされていました。
リューズの開閉頻度を減らすべく、ロレックスは他に先駆けて高精度の自動巻ムーブメントを開発した歴史を持ちますが、クロノグラフに関しては完全に後手に回っており、他社がクロノグラフの自動巻化を成し遂げた1970年前後に対して、ロレックスは20年近い後れを取ることになります。
ロレックスは当初、垂直クラッチを採用しながらもスマートな設計を持つ新世代の高級クロノグラフ、フレデリック・ピゲのキャリバー1185の供給を打診するも断られた、との説もささやかれていますが、最終的にはゼニス社のエル・プリメロを手に入れます。
1969年初出のエル・プリメロは、36,000振動/時というハイビートによって、1/10秒まで計測可能な高精度のクロノグラフであり、古典的な水平クラッチ、コラムホイール式のクロノグラフ機構を搭載しながら、自動巻機構を同居させることに成功した大傑作ではあるものの、ハイビートを発生させるための「強力過ぎる」主ゼンマイや、スペースが少ないが故の「簡易的」自動巻機構を弱点として持っていました。その解決策はもっと後になって、段階的に解消されていくことになりますが、そんな弱点を加味しても、エル・プリメロはあまりにも魅力的なムーブメントとして高い評価を獲得しています。
しかし言い方を変えれば、「耐久性に乏しい」当時のエル・プリメロは、タフネスに重きを置いたロレックスオイスターにふさわしいムーブメントとはいえず、ロレックスはその主輪列を丸ごと再設計して、エル・プリメロの最大の特徴である36,000振動/時の心臓部をロレックス独自の28,800振動/時のフリースプラングテンプに改めたのです。
エル・プリメロを理解する人が、こうして生まれたロレックスのキャリバー4030を「エル・プリメロ」とは決して呼ばないのは、オリジナルパーツの半分以上がロレックス独自のパーツに置き換えられ、そこにはもはや強烈なエル・プリメロのキャラクターは存在していないからに他なりません。
しかしこうして誕生したキャリバー4030は、ロレックスオイスターらしいタフネスと高精度を発揮し、一時代を築きます。
そして2000年、ゼニスのLVMHグループ参画とともに、エル・プリメロはLVMHグループ外への供給をストップしますが、これに間に合わせるかたちでロレックスは初の自社製クロノグラフムーブメント、キャリバー4130の発表にこぎ着けます。
ロレックスの極めて優秀な自動巻ムーブメントに、モダンな垂直クラッチ式クロノグラフ機構を組み合わせ、72時間ものロングパワーリザーブを実現したキャリバー4130は、発売当初の多少の混乱を経て熟成を重ね、その発表から15年以上が経過した現在においても、ロレックスらしいずば抜けたスペックを誇る優秀なムーブメントとして、今年登場した新作、Ref. 116500LNに引き継がれています。
ロレックスが1980年代以降の大ブームによって一躍トップメゾンとなって以来、ヨットマスター II の登場までの長きに渡ってロレックスで唯一のクロノグラフとして、その人気を集めてきたデイトナ。
機械式時計に興味を持つ人のほとんどが一度は手にすることを夢見る時計であり、時計に興味を示さない人たちにすら認知されている存在であり、国際的なオークションにおいては、スティールモデルでありながらコンスタントに1億円を越える価格が付くモデルまで存在する。
この恐るべきデイトナの影響力は、星の数ほどにリリースされては消えていく無数のプロダクトたちの中にあって、まさに王者と呼ぶにふさわしいものといえるでしょう。
ロレックス:コスモグラフ デイトナ(Rolex Cosmograph Daytona)仕様
仕様は ロレックス:コスモグラフ デイトナ【バーゼルワールド2016新作腕時計】 に掲載。
仕様、画像は公式サイトより引用。
ロレックス コスモグラフ デイトナ ウォッチ : 904L スチール – 116500LN(ホワイトダイヤル)
ロレックス コスモグラフ デイトナ ウォッチ : 904L スチール – 116500LN(ブラックダイヤル)
ロレックスの歴史: 1953 -1967

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