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エル・プリメロ キャリバー 図面

エル・プリメロの復活~ゼニス:エル・プリメロ Episode 03~【ムーブメント列伝】


1969年という年は、スイス時計業界にとって一体どんな年だったのでしょうか。

マルテルが初めて自動巻クロノグラフの図面を引いたと言われる1962年から7年、ゼニス主導によって自動巻クロノグラフの開発が始まった1965年から4年の歳月を経て、やっとエル・プリメロの発売にこぎ着けた、1969年9月のわずか3か月後にあたる同年12月。

自動巻クロノグラフの開発とは桁違いと言える革新が、またしても「東の果ての外国」で引き起こされたのです。

そのクリスマスに合わせて登場した、K18イエローゴールドの外装をまとって登場したラグジュアリーピースが搭載していたのは、伝統的テンプ式ムーブメントでは到達不能な月差±5秒、日差±0.2秒という圧倒的高精度を誇る、クオーツムーブメントだったのです。

市場投入を果たした腕時計として初となる、このクオーツ時計「セイコー アストロン 35SQ」のもたらした衝撃はたちまち全世界を駆け巡り、当時の乗用車に匹敵するほど高価であったにもかかわらず、熱狂的なセールスを記録しました。

水晶振動子と新開発の腕時計用 IC 、そして超小型のステッピングモーターの採用によって、アナログの時刻表示機構以外に機械部品を使用しない構造を持つそのクオーツムーブメントは、エレクトロニクス技術の急速な進化、そして生産体制の整備とともに劇的な低価格化を実現していきます。

秒単位の信頼性を持つ、超高精度の時計がもはや高嶺の花ではない時代が、突然やってきたのです。

そしてこの大革新は、当時生活必需品であった全ての機械式時計を骨董品、または嗜好品として追いやるに十分なものであり、当時のスイスフランの高騰とともに、スイス時計業界に急激な変革を迫るものとして、後に「クオーツ・レボリューション」として時計史に刻まれることになります。

この大激震に対して、やはりゼニスも無関係でいられるはずはなく、1971年、ゼニスを含むMZMグループはアメリカのゼニスラジオ社の傘下に入ります。

その指導の下、激変する市場に合わせた競争力のある商品の開発に終始するようになり、ゼニスの誇りであるエル・プリメロも1975年、生産中止を余儀なくされました。

しかしスイス時計業界にとって冬の時代と言われた当時でも、機械式時計への情熱を絶やすことなく、機械式時計に取り組み続ける人々も少なからず存在したのです。

1970年代後半当時、ヴァルジュー7750やレマニアの1340や5100等、入手可能な自動巻クロノグラフムーブメントは他にもありましたが、コラムホイールによる水平クラッチ式の古典的本格クロノグラフ機構と、ハイビートによる高精度を特徴とする、エル・プリメロを求める声は、絶えることはなかったのです。

金型の製作

1978年、ゼニスは新しい経営陣を迎えます。

スイスの伝統的なマニュファクチュール再生の可能性を模索していた新しい経営陣は、当時クオーツ時計しか作らなくなっていたゼニスが持っていた、伝統のクラフトマンシップに注目したと言います。

1981年、本格的な自動巻クロノグラフムーブメントを求めるエベルが、エル・プリメロの供給をゼニスに打診。

これがきっかけで、エル・プリメロの開発に当初から関わっていたゼニスの誇り高き技術者、シャルル・ベルモ氏は、1975年当時の経営陣が破棄、または売却するよう命じていた、エル・プリメロの製造に必要な資料や金型、工具、そしてストックパーツ等をひそかに工房の隅に隠していたことが、ゼニス社内に知れ渡ることになりました。

ゼニスはその隠されていたパーツから、エベルにエル・プリメロのパーツを供給。

長引くスイス時計業界冬の時代の中で状況の好転を目指す、歴史と伝統のあるメゾンたちができることは、誇りを取り戻すこと、専門性をより高めること。

保守的と言われる彼らにとって、やはりそれ以外の選択肢はなかったのではないでしょうか。

そんな業界の気運とエンジニアたちの情熱が経営陣を突き動かし、1984年、ゼニスはついにエル・プリメロの再生に着手するのです。

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エル・プリメロの現在~ゼニス:エル・プリメロ Episode 04~【ムーブメント列伝】


仕様、画像は公式サイトより引用。
セイコー クオーツアストロン 35SQ | マイルストンプロダクツ | 企業情報 | エプソン
セイコー腕時計の歴史
シャルル・ベルモ – クロノグラフムーブメントの製造の専門家(ZENITH)

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